オーラルフレイルは,口の機能の健常な状態(いわゆる『健口』)と『口の機能低下』との間にある状態です。オーラルフレイルであると,将来のフレイル,要介護認定,死亡のリスクが高いことがわかっています。
オーラルフレイルは簡単にチェックできます。
チェックリストでご自身のお口の健康状態を確認してみましょう。5項目のうち,2項目以上に該当する場合には,オーラルフレイルに該当します。
質問 | 該当 | 非該当 |
自身の歯は何本ありますか? (差し歯や金属を被せた歯は自分の歯として数えます。インプラントや義歯は自分の歯と数えません。) | 0~19本 | 20本以上 |
半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか? | はい | いいえ |
お茶や汁物等でむせることがありますか? | はい | いいえ |
口の渇きが気になりますか? | はい | いいえ |
普段の会話で言葉をはっきりと発音できないことがありますか? | はい | いいえ |
5つの項目のうち,「該当」が2つ以上あるとオーラルフレイルです。
オーラルフレイルとは、口のフレイル(虚弱)という意味の造語で、口の機能低下に注目した概念です。下の図に示すように最近むせやすくなった、食べこぼしが増えた。食欲がない。軟らかいものを好んで食べるようになった。滑舌が悪くなった。口が乾きやすくなった。歯が抜けたままになっている。など…。これらのようなちょっとした口に関する“ささいな衰え”がオーラルフレイルです。
例えば虫歯や歯周病を放置したことで歯が折れたり抜けたりして、それまで噛めていたものが噛めなくなることがあります。そのため自然と食べやすい軟らかいものを選択するようになり、いつしか軟らかいものを食べることが習慣となります。そのため噛むための筋肉を使わなくなり、結果として噛む機能が低下します。噛むための機能が低下することで軟らかいものを選択するようになり更に噛めなくなる、という負の連鎖を引き起こします。徐々に口の機能の低下が進行し、食べ物の選択肢が狭まり栄養に偏りが生じたりすることで心身機能の低下にもつながると考えられています。このような“負の連鎖”に早めに気づくための重要なサインとしてオーラルフレイルは近年注目されています。
ある調査によると、オーラルフレイルの人はそうでない人と比べ、2年以内に身体的フレイルを発症する確率が2.4倍、4年以内に死亡するリスクは約2倍ということがわかってきました。ここから言えることは、お口のささいな衰えを甘く見てはいけない、ということです。

治療方法・予防方法
- 治療の必要がある歯は治療をする
- 歯周病管理を行う(歯石取り・クリーニング)
- 歯の欠損部がある場合は噛めるように処置をする
- 適切な体操・運動を行う(当院にて指導します)
まとめ
いかがでしたか?オーラルフレイルとは割と最近に登場した概念です。所詮、歯やお口とあなどってはいけません。皆様の健康はまずは口で食事を摂って全身の活力へと繋がります。入口である口腔が不健康・歯石や汚れが定着しているままだと全身の健康にも悪影響が生じることは想像に容易いでしょう。
当院では患者様の生涯の健康・健口を責任を持って管理・把握をさせていただきますので、どのような些細なことでも構いませんので、相談も兼ねて当院へお越しください。